【本紹介】ビジネスパーソンのためのクリエイティブ入門~好きだけが人を動かす~

今回は「ビジネスパーソンのためのクリエイティブ入門」という本の紹介です。

目次

はじめに

みなさん、「クリエイター」という言葉にどのような印象を持っていますか?

なんかカッコつけていてうさんくさいな・・・

・非論理的で自己満足な仕事をしているんだろうな・・・

という印象をお持ちの方もいると思います。
(クリエイターの方、すみません・・・)

おそらくこのように思う方のほとんどは、
数字やお金を扱うような論理的で実際的な仕事についている、
「ビジネスパーソン」の方が多いかと思います。

世の中は、ビジネスパーソンがほとんどです。

本書は数多くの有名な広告を手掛けるクリエイターの著者(原野守弘 氏)が、
世の中の多くの「ビジネスパーソン」に向けて、
以下のようなことをわかりやすく解説してくれています。

  • 人間の本質と「クリエイター」「ビジネスパーソン」の違い
  • 初心者向けクリエイティブのコツ

ちなみにこの本は、こんな人におすすめです。

  • 仕事、社会、人間関係等で納得のいかないことが多いなと感じている方
  • 普段、実際的な仕事をしているが、他の発想を取り入れたい方
  • 顧客や人に好きになってもらいたい方
  • 自分の人生において本当に大事なものが何か考えてみたい方

私も実際的でお堅い仕事につく「ビジネスパーソン」ですが、
この本を読むと世界観が少し変わり、視野が広がります。

同じように現実的な仕事で忙殺されているような「ビジネスパーソン」にとっては、
別の脳の使い方ができ、丁度良いブレイクになるのではないでしょうか。

特に最後の「自分の人生において本当に大事なものが何か考えてみたい方」にはお勧めです。

個人的な感想はまた最後に書きますが、
まずは書籍の紹介です。

人間の本質と「クリエイター」「ビジネスパーソン」の違い

人間は感情でしか動かない

まずはじめに人間は論理的な生き物なのでしょうか?

人間は論理的な場面もあるが、多くの場面で非論理的な行動をとるといわれています。

  • 体に悪いと知りながら高脂質な食べ物を食べてしまう。
  • 科学的裏付けの薄い健康食品や美容グッズを買ってしまう。
  • 競合の類似製品より高額なAppleの製品を購入してしまう。

等々、実際の行動は非論理的なことが多いのが人間です。

「ビジネスパーソン」の仕事の多くは、
人間が論理的に動く前提で行われています。

しかし、「ビジネスパーソン」の方でも
「論理的に正しい方法で進まない・・・」
といった経験は数多くあるのではないでしょうか。

この場合、論理以外の他の理由・・・
すなわち「好き」という感情が動いていない
かもしれないということを
疑ってみる必要があるかもしれません。

「好き」というのはもちろん感情ですが、
この本では人間は感情以外では動かないと言われています。

そしてこの本の中では、
終始「好き」という言葉が軸になって語られています。

「広告」と「販促」は違う

少し話は変わりますが、
広告ディレクターである著者いわく、
「広告」と「販促」は全く違う
という点も重要なポイントです。

日本で目にする「広告」は、本当の「広告」ではなく、
「販促」だと著者は語っています。

  • 広告:好きになってもらうためのもの
  • 販促:買ってもらうためのも

企業のためには「販促」の方が大事なのでは・・・

と思うかもしれませんが、そういうわけではありません。

「販促」で製品名や企業名を連呼してある製品が売れたとしても、
それはその場限りです。
(よほど素晴らしい製品なら、
次の製品も買ってくれるかもしれませんが・・・)

それに対して「広告」は企業やブランドを
「好き」になってもらうのが目的
です。

先ほど書いたように人間は非論理的で感情で動く生き物です。

企業やブランドを「好き」になるとどうなるかというと、
ただ製品が売れるだけではなく、
人はファンになり、尊敬や愛を向けるようになります。

この尊敬や愛こそが、
企業やブランドが長期的に生き残るための大事なポイントになります。

「好き」は言語化できない

厄介なことにこの「好き」とういものは、
言語化できない
と言われています。

おかげで扱いづらく、多くの「ビジネスパーソン」からは、
うさんくさいもののように思われるゆえんとなっています。

それは優れた「クリエイター」でも同じで、
プレゼン等で広告などの効果を
それっぽい理由や根拠をつけて説明をするのは、
やや詐欺的と感じこともあるとまで述べています。

優れた「クリエイター」の仕事は、
自分の好きなものを表現することで
多くの人に共感してもらうことです。

なぜ共感されるかを説明することは不可能で、
誰しもが持っている「なんかカッコいい」
「なんか素敵」という感覚が全てです。

ここまでのまとめとして、
ビジネスパーソンとクリエイターの違いは、
以下のようになります。

  • ビジネスパーソン:言語を使い論理で理解するよう訴える
  • クリエイター:言語を使わず感情だけに訴える

考え方が全く違います。

もし仕事や人間関係などで
納得のいかないことの多い「ビジネスパーソン」の方がいたら、
人間が感情で動くことを思い出すことで、
多少なりともヒントになるかもしれません。

初心者向けクリエイティブのコツ

では「ビジネスパーソン」の人が、
「クリエイティブ」になるのには
どうすればよいのでしょうか。

本書では初心者向け「クリエイティブ」の
コツがいくつも載っています。

自分自身ではなく自分の愛するものを語れ

人間が共感するのは自分の「好き」なものに対してです。

ある企業やブランドを好きになる前に、
具体的な情報である社長の名前や企業の歴史等を語っても、
好きになることはなかなかありません。
(出身地が同じ等で多少の共感はあるかもしれませんが・・・)

大事なのは「自分のこと」を語るのではなく、
「自分の愛するもの」を表現することです。

「自分の愛するもの」

起業やブランドの場合、思想や哲学や理念等、
企業やブランドが根源的に目的としているものです。

また、ゴールデンサークル理論というものがあります。

ここで企業やブランドの愛するものに該当するのが、
「WHY」の企業理念や目的とするものです。

人々に説明するときは、
WHY→HOW→WHATの順で説明することで、
直観的な共感を得やすい
という理論です。

商品を売ろう売ろうと考えてしまうほど、
WHAT(商品)の説明ばかりになります。

これだと理解は得られますが、
共感を得ることは難しいため、
直感的な行動にはつながりにくく、
また一時的に売れたとしても
永続的なファンにはなりにくいでしょう。

脳をマッサージする

優れたクリエイターは、
多くの人に刺さるような、
普遍性・再現性がある「好き」を生み出せる人だと著者は述べています。

ただ先述の通り、
「好き」は言語化できないという話をしました。

つまり座学で論理を学べば、
「クリエイティブ」が身につく
というわけではなさそうです。

では「クリエイティブ」は完全に才能なのかというと、
そういうわけでもありません。

良い作品に触れ、脳に刺激を与えること
で優れたクリエイターに近づくことができます。

これはAIのディープラーニングに近いでしょう。

ディープラーニングとはシンプルに言うと、
AIに説明や手順を指示して動きを学習させるのではなく、
数多くの経験をさせることで、
適切な動きをするよう学習させる方法です。

つまり、無意識に多くの作品に触れることで、
脳の中に素晴らしい作品の要素が集積していき、
アウトプットする際に引用することができる、
ということです。

インプットするものは広告に限りません。

音楽、映画、アニメ、ゲーム等、
どのようなメディアであっても、
素材として使える可能性はあります。

実際に著者もゲームや映画等から、
多くのヒントを得ているとのことでした。

盗む

世の中の創作物は
全てファンアート(二次創作)だと語っています。

例えば映画監督のスタンリー・キューブリックが、
SFの名作「2001年宇宙の旅」の音楽で、
既存のクラシック音楽をあえて使用したのは有名な話です。
(私の最も大好きなSF映画です)

創作物だけに限りません。

研究や哲学でも、
過去の偉大な研究結果の上に成り立っています。

完全なオリジナルを目指すなんておこがましく、
世の中のクリエイティブは、
クリエイターの脳の中に入っている
過去の素晴らしい作品の要素を盗んで
作られています。

ただ、完全に「真似る」というのとは違い、
「盗む」というのがポイントです。

おわりに

本書では、他にも多くの「クリエイティブ」のコツが書かれているので、
気になる方はぜひ読んでみてください。

はじめにで書いた通り、
自分の本当の「好き」は何か、
改めて考え直す機会にもなります。

私も仕事や私生活でたまに遭遇しますが、
「説明してるのに共感が得られないな・・・」
という場面があります。

また逆に聞き手に回った場合に、
「正しい話なんだけどなんか嫌だな・・・」
という場面もあります。

今思えばこれらの場面は、
自分・相手の「好き」に
引っかかっていなかった可能性があります。

そして説明の中で、
理念や好きなものの共有が足りなかったのかもしれません。

それとこの本では好きという言葉が
数多く登場します。

現実的なビジネスの世界では
忘れがちな言葉ですが、
人が生きていく上で、
最も大事なものなのでしょう。

ビジネスパーソンの社会では、
感情は悪というような風潮があります。
(若干極端でしょうか・・・)

しかしそれは人間の本質に逆らうことになり、
つらいのも当然かもしれません。

仕事であっても社会であっても、
もう少し個人的な好き嫌いを
表現することに寛容な世の中になれると
いいなと考えます。

そうすれば好きなもの同士の連帯も生まれ、
各人が生きやすい環境に巡りあう機会も
増えるのではないかな、と思ったりします。

今回は以上となります。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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