今回は「こっそり副業術」という本の紹介です。
はじめに
給与水準の低下、労働時間の減少、
個人を重視した価値観への変化・・・
ご存じの通り、近年、様々な理由で、
「副業」が流行っています。
そのため「副業のノウハウ」を語る
本や情報が世の中にあふれています。
この本もシンプルに言えば、
「スキルシェア」を中心とした
副業のノウハウ本ではあります。
- 副業でスキルシェアをする場合のポイント
- スキルを出品までの手順(3STEP)
- 商品の売上をアップさせるコツ
「スキルシェア」とは、
個人が持つ特技(イラスト作成やプログラミング等)を、
プラットフォーム上で直接個人間で売買する仕組みで、
スキルのフリーマーケットとも言えます。
有名なプラットフォームでは、
ココナラが有名ではないでしょうか。
本名・顔出しは必須ではないため、
知人にバレることなく、
こっそりと副業をすることが可能です。
スキルシェアという特徴はあるにせよ、
最近流行りの副業ノウハウ本かな。
と、思いきやこの本の本質は少し違います。
この本は、こんな人におすすめです。
- 自分の特技や趣味を副業に活かしたい方
- 漠然と副業に興味があるが、何から始めればいいのかわらかない方
- 自分の特技・特徴がわからず、劣等感や無力感を感じる方
上記1点目、2点目のような
わかりやすい悩みや目標をお持ち方は、
いわゆるノウハウ本であるこの本で、
解決する可能性が高いです。
ただこの本で大事なのは3点目に該当する方。
この著者(土谷愛 氏)の想いと本質は
3点目にあると思われます。
この3点目については、特に最後に書きますが、
まずは書籍の具体的な内容の紹介です。
副業でスキルシェアをする場合のポイント
まずはじめに、スキルシェアをする際に重要な
ポイントが語られています。
- 気軽なものから始めてOK
- 最初はスピード重視
- 何はともあれまずは「出品」、そのあと「改善」
「副業を始める」と言うと、多くの方は、
お金をもらうのだから、
ちゃんとしたものを売らなければ。
と考えがちだと思います。
普段から定型的な仕事をしている社会人ほど、
「仕事は慎重に間違いなく」
という働き方が身に染みついており、
このような発想になりがちだと考えます。
もちろん悪いわけではないですが、
副業は定型的な仕事とは異なり、
以下の理由で、気軽にただちに始めるべき
と述べられています。
- 実際に行動に起こし、モチベーションが高い状態を保つ
- 誰でも最初から成功する可能性は低く、ほとんどの場合、改善が必要となる
- 評価するのは他人であり、自分で考えすぎてもなかなか正解にはたどり着かない
慎重になりすぎて行動に移さないことこそが、
成功から遠ざける最も大きな要因です。
ただ気持ちはわかるので、行動に移せない方は、
この本にある例、
友人の手伝いをした際に
ジュースをおごってもらう感覚のように、
気軽に副業を考えてみてください。
私も過去、
ある力持ちの友人に、引越しを手伝ってもらった際、
お礼として焼肉をご馳走したことを思い出しました。
逆に私自身がある友人の結婚式で流す動画を作ってあげた際に、
お礼に焼肉をご馳走してもらってこともあります。
(「焼肉」はある種共通の通貨なのかもしれません)
考えてみればこれらの行動は、
その人の特技を活かしたサービスを
販売・購入したことと変わらず、
立派な副業と言えます。
スキルを出品するまでの手順(3STEP)
本書では実際にスキルを出品する際の手順について、
3STEPで説明されています。
- STEP1:自己分析で強み探し
- STEP2:強みを活かした商品作り
- STEP3:販売ページを作っていざ販売
STEP1:自己分析で強み探し
まずは自己分析で商品になりそうな強みを探します。
ここでのポイントは、
「強みを作る」のではなく、
「強みを探す」ということです。
ここのステップがこの本の核心とも言えます。
多くの人は「スキルを売る」と考えた場合、
「プログラミング」「イラスト」
「動画編集」等、
わかりやすいスキルを想像しがちです。
もちろん間違いではないですし、
実際にこれらを特技として
副業をしている人は多いです。
ただあなたはこれらが得意なのでしょうか?
学習をして身に着けることは、
誰でもできるかもしれません
しかし身に着けて副業ができるまでには
お金・時間・モチベーション等
様々な要素が必要となり、
かなりハードルが高いと言えます。
(そもそも得意分野ではない可能性もあります)
ここで著者が最も重要視するメッセージは、
「プログラミングのようなスキルがなくても、
『私には副業は無理だ』とは考えてほしくない」
ということです。
新しく何かを学んだり仕入れたりする前に、
自分の部屋、本棚、時間、心の中を
探してみてください。
プログラミングのようなスキルがなくても、
あなたには何年と生きてきた中で、
何十、何百時間と費やしてきたことが
あるはずです。
それは例えばゲームや音楽のような、
ただの趣味であったとしても、
毎日当たり前のように行っている、
事務作業や家事でも同じです。
これらは他の人にはないスキルであり、
持っていない人からすれば、
需要のあるスキルになり得ます。
事実、スキルシェアのサイトでは、
「愚痴を聞きます」
「デートプランを考えます」
等、こんなことが副業になるのか
と思うようなサービスが出品されており、
購入者も多数存在します。
また、自分では弱みやコンプレックスだと
思っていることも強みになり得ます。
例えば「身長が低い」という
コンプレックスを持った方は、
「身長が低い」 人でも似合うファッションを
常日頃から考えているかもしれません。
この知識は同じ「身長が低い」という
悩みを持つ人にとって、
需要のある知識になることがあります。
「身長が低い」という特徴自体も、
大人っぽい服装は似合いにくいかもしれませんが、
相手に威圧感を与えないため、
「人の話を引き出すのが得意」
という特徴があるかもしれません。
自分で強みがないと考えている方、
自分にコンプレックスがある方は、
世の中に多いと思います。
ただ一度、客観的に自分を見つめなおしてみてください。
コンプレックスはただの特徴で、
見方を変えれば強みにもなり得ます。
自分にとって当たり前のことは、
他の人の当たり前ではなく、
希少価値のあることの可能性もあります。
この副業の種を探すために
自分を客観的に見つめなおすというところが、
この本の大きなポイントです。
STEP2:強みを活かした商品作り
続いてSTEP1で見つけた強みを活かして、
実際の商品を作ります。
商品作りの要素は以下の通りです。
商品 = 知識・スキル × 提供方法 × ターゲット
STEP1で見つけた「知識・スキル」を活かし、
「提供方法」と「ターゲット」を考える必要があります。
「提供方法」には以下の4種類があります。
- 代行業:代わりにやる
- 相談業:相談に乗りアドバイスをする
- 先生業:教える
- 共有業:マニュアルにして渡す
それぞれの提供方法にはメリット・デメリットがあり、
また性格によっては、
向いている・向いていないもあるので、
自分に適した方法を選びましょう。
「ターゲット」は誰に売るかですが、
決め方のコツは2段階です。
1段階目で「この商品を喜んでくれる人」をイメージし、
2段階目で「具体的な年齢・性別・職業・悩み」を想定します。
欲張ってターゲットを決めずに
誰にでも売れるような商品として打ち出すと、
ぼんやりしてしまい誰にも刺さらないことが多いです。
急がば回れ、特定のターゲットを絞った方が、
該当するターゲットからは商品が魅力的に見え、
結果的に売れやすくなります。
STEP3:販売ページを作っていざ販売
商品を作ったら、実際に販売を行います。
具体的には、
はじめにで紹介した
ココナラのようなプラットフォームに
自分のページを作成し、
商品を販売するということです。
ものすごくざっくり言うと、
街に店舗を構えるのと
感覚的には違いないありません。
「なんとまあ商売が身近になったものだ」と、
時代の移り変わりに少し関心します。
ここでは、
- 類似商品のリサーチ方法
- 販売ページに必要な要素(ターゲットや信頼性や根拠等)
- 魅力的なプロフィールの作り方
個人的に印象深いのは、以下の点でしょうか。
- 信頼して買ってもらうために、商品・プロフィールにストーリーや信念を盛り込む
- メリット(利点)ではなくベネフィット(利益)を伝える
ストーリーを盛り込むことで、
同じような想いを持つ人の
共感や信頼を得ることができます。
そうすると、他の類似商品と差別化ができ、
購入につながりやすくなります。
さらにストーリーや信念に共感する人は、
ファンになりやすく、
長期的な顧客になる可能性も高いでしょう。
また、メリット(利点)ではなく
ベネフィット(利益)という点も大事です。
目覚まし時計の例では以下となります。
- メリット:朝早く起きるため大音量の目覚まし機能がついている
- ベネフィット:「遅刻する」と焦らない優雅な朝を過ごすことができる
ベネフィットは、
顧客が商品を購入することによって得ることができる、
良い未来のことです。
現実的な理屈で理解させるのではなく、
顧客の心の中にある悩みや問題に訴求することで、
感覚的な購入につながりやすくなります。
この辺の話に近しい内容は、過去の本紹介の記事
「ビジネスパーソンのためのクリエイティブ入門」
でも書いてあるので、
興味のある方は、ぜひ読んでみてください。
商品の売上をアップさせるコツ
商品販売後、売上をさらにアップさせる
コツについても書かれています。
まず、売上アップに欠かせない、
大事な3つのマインドについて述べられています。
- お悩み解決マインド:相手が欲しいものを売る
- 等身大マインド:できることを精一杯やる
- お試しマインド:売れる商品を完成させるまで何度もテストをする
基本的なことだとは思いますが、
私含めて「自分の商品を売る」ということを
経験したことがない方がほとんどだと思うので、
確実に身に着けておきたい思考です。
他にも、
- 客数を増やすために、ターゲット等をずらして商品数を増やす方法
- 緊急度と重要度を考慮した売れやすい商品の考え方
- 信頼性を強みを掛け合わせて商品単価を上げる方法
- リピーターを増やす方法
等々、実際の商品販売後に、
売上を上げる具体的な考え方や方法を
紹介しています。
「せっかく商品を出したのに売上が上がらない」
といった、初心者にありがちな
悩みの解決にも役立つでしょう。
おわりに
本書の中では、
実際に埋めることで自分の商品が出来上がっていく、
実践的なワークシートもあります。
また、経験者の声も多数載っているので、
実際の副業のイメージも
わきやすいのではないでしょうか。
これ一冊で一気通貫に副業の構想から実践まで
たどり着くことができるので、
興味を持った方はぜひ読んでみてください。
なお、この本書の「おわりに」に、
著者の以下のような想いが書かれています。
今の社会に足りないのは「自信」であり、
自信を持った大人を増やしたい
私自身もこの考えに共感します。
他人からの評価ではなく、自分が自分を知る重要さ
我々は子供の頃から、
「テストの点数」「受験の結果」
「親や先生の言うことを聞くか」
等、他人から測られ、評価されてきました。
大人になってからも同様です。
「これで進めて問題ないか」
「どちらの方法が正しいか」
等、仕事での決断も他人からの
判断や評価を必要とします。
(組織が大きくなればなるほど、
仕方ないことではあるのかもしれませんが)
他人から評価され続けられたことで、
他人からの評価がないと、
自分に自信が持てないという大人が
多くなってしまった印象です。
(私もその一人です)
誰でも、他人から評価されなくても、
良いところや強みになる特徴・特技が
あるはずです。
また、何かを行動するときに、
誰かに背中を押してもらわないと、
自信を持って行動できない
という人も多いと思います。
本当は、その人がやりたいことがあれば、
自信をもってやればいいだけのはずです。
著者自身も、
このような自分に自信のない大人であった中、
いつもの自分の中の個性が
強みになると気づかされた経験を経て、
自信が身についたというエピソードがあります。
このエピソードを
読者の中で再現しようとしたのが、
本書、出品手順の中の
「STEP1:自己分析で強み探し」
のパートです。
幸い、この著者のような考え方が、
最近は増えてきたように思います。
一昔前の副業本の場合、稼ぐためには、
・投資をした方がいい
・英語を勉強した方がいい
・プログラミングを勉強した方がいい
等々、「何をすべきか」という視点が強く、
本書のように「誰がやるか」という視点は
薄かったように思います。
これら昔の「何をすべきか」という視点はまさに、
「自信がなく自分で決めることができない大人」
に向けた本だと思います。
「みんながやっているから正解だ」
「成功した人が言っているから正解だ」
というだけで、
自分がそれらに適した人間がどうかの
視点が欠けています。
そして多くの適性がない人が挫折して、
さらに自信を失っていきます。
そうならないためにも、
自分の得意なこと、好きなことを知ることは、
継続する上で、重要なことであると考えます。
自分の特徴に自信を持ち、好きなことを表現できる世の中に
さらに言うと、自分を知り、
他人の評価や判断から解放されるのは、
長い人生を生きる上で、
最も需要なことなのではないでしょうか。
過去の記事でも書きましたが、
人は論理的に見えて、非論理的な生き物です。
人は結局は好き嫌いの感情でしか判断できません。
コントロールできるはずのない
「他人の好き嫌い」に評価され続ける人生は、
想像するだけでとても窮屈に感じます。
誰でも好きなことはあるはずです。
仕事でも趣味でも、他人からの評価を気にせず、
自分の好きなことに注力できるような生き方こそ、
日々、充実感を感じながら生活できるのではないかなと、
考えたりします。
今回紹介したスキルシェアの副業で失敗しても、
失うものはほとんどありません。
誰の目も気にしないで、自分の得意と好きを
惜しげもなく解放する第一歩に
ちょうどいいのではないでしょうか。
今回は以上となります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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