大規模システム導入プロジェクトの失敗パターン

今回は私の本業に関係のある、
大規模システム導入プロジェクト
について書いてみます。

目次

はじめに

私の本業は、システムコンサルタントで、
主に「大企業向けシステム」の
導入プロジェクトをやっています。

もう少し具体的に言うと、
人事系のシステムをメインにやっています。

わかりやすいところだと、
「給与計算」、「勤怠管理」、「社会保険」
から、
「人事評価」や「組織管理」などの
システムです。

大企業向けのシステム導入は、
プロジェクト規模が大きくなるので、
期間としては少なくとも1年以上、
プロジェクトメンバーの数としては、
数十人~100人以上にもなります。

金融系や公共等のプロジェクトだと、
さらに大規模のプロジェクトはありますが、
この規模でも、そこそこ大変な、
システム導入プロジェクトとなります。

そして大規模システム導入プロジェクトは、
よく失敗します

厳密に言えば、すんなり計画通り、
予定していた期日に満足のいく品質で、
稼働を始めることはほぼありません。

度重なるトラブルたち。

そんなトラブルの原因はだいたい、
「人」なのですが、
過去のトラブルプロジェクトを思い出してみて、
こうゆうプロジェクトだと失敗するなぁ・・・
というパターンを書いてみます。

【失敗原因1】過度に多い新人・若手たち

プロジェクトメンバー内の、
新人や若手の比率が、
過度に高いプロジェクトがあります。

優秀な人材を集めている、
大手のシステム会社や、
コンサルティング会社に多いのですが、
新人や若手への要求も高くなります。

プロジェクトで重要な役割を、
いきなり新人や若手にさせることも、
珍しくありません。

育成の観点では、負荷をかけることで、
成長を促すという観点があります。

またコスト的にも、
単価が安い新人・若手で固めて、
利益を出そうという考えもあります。

実際、優秀な新人や若手の中でも、
勘がよく、適性のある人は、
経験がないながらも、
うまくやりとげる人はいます。

このような優秀な人は、その後も、
プロジェクトの経験を活かし、
成果を出し続けるでしょう。

しかし、欲張りすぎて、
あまりにプロジェクト内の、
新人・若手の比率が高すぎると、
問題が発生します。

まず全員が全員、
適性があるわけではので、
必ず仕事についていけなくなる人が、
出てきます。

そんな新人・若手が増えぎると、
フォローをするベテランや中堅メンバーの、
目が行き届かなくなります。

そうなると、
至る所でトラブルが頻発し、
そのトラブルの収束もできず、
どんどんプロジェクト全体が、
傷だらけになってきます。

対策

シンプルに人を入れ替えないと、
どうしようもありません。

マネージャー等、
メンバーの権限を持っている人に、
アラートをあげるしかないでしょう。

それでも改善できないとしたら、
もうそのプロジェクトは、
失敗まっしぐらなので、
とっとと逃げた方がいいです。

【失敗原因2】パワハラすれすれマネージャー・リーダー

すれすれ、という言い方は、
オブラートに包んだ言い方です。

実際は、もう明らかにアウトの
パワハラを見てきました。

最近はだいぶ減ったでしょうか・・・
(それでも昔に比べればです)

正直言って、
どんなにキャリアを重ねたベテランでも、
人間であることは変わりなく、
完全に感情を捨てきれる人はいません。

多少の好き嫌いが出るのは、
ある程度しようがないかもしれませんが、
行き過ぎるとプロジェクトに支障を来します。

パワハラの標的になる人は、
仕事ができない人、とは限りません。

気が弱くて反論ができず、従順な人ほど、
標的にされやすい印象です。

プロジェクトのマネージャーは、
当然プロジェクトの責任を負っているため、
順調にいかないプロジェクトの中、
かなりのストレスを感じている、
というのはあります。

そんな中、プライドが高いマネージャーは、
順調にいかない理由を特定の人に責任転嫁して、
自分の精神を保っているのかな、
などとも考えてしまいます。

そして恐らく、
他者を攻撃する行動は癖になるのかなとも思います。

いじめの構造は大人になっても、
存在する悲しい事実です。

このようなマネージャーやリーダーがいると、
メンバーは委縮してしまいます。

そうなると、
トラブルは傷が大きくなるまで検知されず、
フラットに議論できないため、
正しい方向性でプロジェクトを、
進めることができなくなります。

こうなると失敗まっしぐらです。

対策

もしパワハラの対象にされた方がいたら、
とっとと逃げましょう。

留まることは無意味です。

パワハラをする人は、
パワハラの対象がいなくなると、
別の人に対象が変わることが多いです。

ですので仮に標的にされていなくても、
早々にプロジェクトを抜けるなり、
考えておいた方がいいかもしれません。

パワハラをする人の周りから、
完全に人がいなくなるまで、
孤立させる必要があります。

【失敗原因3】プロジェクトの目的を忘れがちなクライアント

プロジェクトで大事なのは、
クライアント担当者との信頼関係です。

良いプロジェクトでは、
クライアントがプロジェクトの、
目的や進め方を理解する必要があります。

また、導入プロジェクトのメンバー側は、
クライアントのカルチャーを、
理解し、進めていく必要があります。

クライアント、導入メンバー側で、
双方向の理解が必要不可欠です。

この信頼関係が築けないと、
プロジェクトの進行はかなり厳しくなります。

ありがちなのは、クライアントが、
今までの仕事のやり方に固執しすぎること、
会社のカルチャーに固執しすぎること、
です。

大規模なシステム導入のプロジェクトの目的は、
大きな変化のため行われます。

つまり、プロジェクトに関わる人はみな、
現行のシステムや業務を、
客観的な視点で見直し、
無駄や非効率を削減する必要があります。

時として、リスクを恐れず、
チャレンジングな決断を必要とする場面もあります。

しかし、プロジェクトを進めるうちに、
個々の担当者は、当初の目的を忘れてしまい、
現行の業務や文化を、引き継ごうと考えてしまいます。

それをシステム導入メンバーが、
受け入れすぎると、
過度に現行の業務を引きついだシステムになり、
複雑で非効率かつ、
当初の目的から逸脱したシステムが、
できあがります。

プロジェクトを進める上でも、
複雑な追加機能が増えていくので、
メンバー全員の作業が増え、
プロジェクト全体が疲弊していきます。

対策

クライアント含め、
プロジェクトに関わる全ての人に、
目的を浸透させる必要があります。

クライアントには常にその目的を、
第一に考えてもらうようにする必要があります。

導入プロジェクトメンバーこそ、
目的を見失ってはいけません。

導入プロジェクトのメンバー側も、
何でも受け入れてはいることはせず、
依頼するべきこと、主張すべきことは、
クライアントに主張し、
説得する必要があります。

ときとしてプロジェクトの上位者などに、
協力してもらう必要もあるでしょう。

おわりに

今回紹介した構図は、
どのプロジェクトでも、
どの会社であっても起こりえます。

まるでデジャブのようです。

これらのパターンは、「お客様は神様」、
「上位者は絶対」、「滅私奉公」、
といった、
古くからの日本の企業文化に、
起因したものだと思います。

会社、プロジェクト、上位者の利益のために、
個々のメンバーが、
無理強いや理不尽を強いられる構図です。

正直言って、
もう変わらないのではないかな・・・
とも思っています。

あまりネガティブに考えたくはないですが、
少なくとも一朝一夕では変わりません。

実際、過去のプロジェクトでは、
「鬱になって休職になった」
「胃に穴が開いた」
といったメンバー、同僚は少なくありません。

幸い、私自身は、
鬱になったり体を壊したことはありませんが、
「これはやばいな」と思うタイミングは、
多々ありました・・・

よくまあここまで生き延びてきたものです。

個人的には、
「もうダメだ」と思った方がいたら、
その場で踏ん張らず、
早々に逃げてしまってほしいなと思います。

災害や敵に遭遇した場合の対応として、
「逃げる」、「戦う」、「耐える」といった、
選択肢があります。

自然界に存在する動物で、
「じっと耐える」という選択肢をする動物は、
存在しません。

なぜ存在しないかというと、
「耐える」という選択をしてきた動物は、
絶滅してきたためであると言われています。

トラブルに遭遇した際に、
「耐える」という選択肢は、
動物的に最悪の選択肢であると言えます。

個々の社員が「戦う」という選択をとるのは、
日本の企業にいる限り、
とても負担で、簡単ではないでしょう。

大規模システム導入に限らず、
もし今つらい状況にいる方がいるとしたら、
早々に逃げて、
自分の身をぜひ守ってもらいたいなと思います。

今回の記事は以上となります。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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