【本紹介】トリーズの発明原理40~問題解決の発想が浮かばない人へ~

今回は「トリーズの発明原理40」という本の紹介です。

この本はタイトルの通り、
発明や問題解決で役に立つ40個の「トリーズの発明原理」を
わかりやすく紹介しています。

「発明原理」という言葉は少しわかりにくいですが
問題解決に役立つ考え方のパターン
言い換えてもらって構わないかと思います。

シンプルにおもしろいだけではなく、
仕事や日常生活でアイデアが出ずに困ってる人、
難しい問題に直面している人には、
助けになるかもしれない一冊です。

目次

トリーズの発明原理40とは

まずはじめに、トリーズ(TRIZ)とはなんでしょうか。本の紹介文は以下の通り。

トリーズ(TRIZ)は、「ロシアの特許審査官が特許をベースに作成」し、「200万件以上の特許で、科学的、定量的に検証・ブラッシュアップ」し、「分野を超えて利用できる」ようにした、ほかに類を見ない、非常に優れた、発明的な問題解決の理論です。

ロシアの特許審査官だったアルトシューラーは、来る日も来る日も特許を見ているうちにあることに気づきました。「分野が違っていても、問題解決の手法には共通要素があるのではないか?」と。
そこで、何百、何千件の特許を元に、「発明のコツ」を抽出していきました。そして、そこからついに、発明の「共通要素」を法則化することに成功したのです。
さらにアルトシューラーはもうひとつのことにも気づきました。それは「ある分野で新たに解決された問題の9割は、実はほかの分野で既に解決されている問題である」ということです。
そうしてアルトシューラーがたどり着いたのが「問題解決プロセスの一般化」で、これらをまとめた科学的問題解決プロセスがトリーズ(TRIZ)です。

本書でご紹介する「40の発明原理」は、一つひとつの具体的な問題解決方法の中から、問題解決プロセスを一般化して抽出したものです。これを活用することで、他分野における過去の失敗や成功からより深く学べるようになります。また、異分野の技術者同士やビジネスパーソンの間で今まで難しかった「技術の本質に迫った話」ができるようになります。
TRIZは、今も進化を続ける巨大な理論体系ですが、本書で紹介する「発明原理」は、TRIZの原点であると同時に、ほかのすべての理論の基本にもなっています。
本書は、現在、欧米を中心に高付加価値なビジネスを成り立たせているこの手法の原点を、一般の方向けに初めてご披露するものです。

ポイントは、

  • 世の中の特許・発明は、一般化された「40の発明原理」のいずれかに集約される。
  • どの分野の問題であっても、この「40の発明原理」を応用すれば解決につながるはず。

ということです。

なお、40の発明原理は、具体的には以下です。

1.Segmentation (分割原理)
2.Extract / Taking off (分離原理)
3.Local quality (局所性質原理)
4.Asymmetry (非対称性原理)
5.Merge (組合せ原理)
6.Universality (汎用性原理)
7.Nested-doll (入れ子原理)
8.Anti-weight (つり合い原理)
9.Preliminary counteraction (先取り反作用原理)
10.Preliminary action (先取り作用原理)
11.Beforehand cushioning (事前保護原理)
12.Equipotentiality (等位性原理)
13.The other way round (逆発想原理)
14.Curvature / Spheroidality (局面原理)
15.Dynamics (可変性原理)
16.Partial or excessive actions (アバウト原理)
17.Another dimension (他次元移行原理)
18.Mechanical vibration (機械的振動原理)
19.Periodic action (周期的作用原理)
20.Continuity of useful action (連続性原理)
21.Skipping (高速実行原理)
22.Blessing in disguise (わざわい転じて福となす原理)
23.Feedback (フィードバック原理)
24.Intermediary (仲介原理)
25.Self-service (セルフサービス原理)
26.Copying (代替原理)
27.Cheap short-living objects (使い捨て原理)
28.Mechanics substitution (メカニズム代替原理)
29.Pneumatics and hydraulics (流体作用原理)
30.Flexible shells and thin films (薄膜利用原理)
31.Porous materials (多孔質原理)
32.Color changes (変色原理)
33.Homogeneity (均質性原理)
34.Discarding and recovering (排除再生原理)
35.Parameter changes (パラメーター変更原理)
36.Phase transitions (相変化原理)
37.Thermal expansion (熱膨張原理)
38.Strong oxidants (高濃度酸素原理)
39.Inert atmosphere (不活性雰囲気原理)
40.Composite materials (複合材料原理)

これだけ並べられてもいまいちわかりにくいと思うので、
いくつかわかりやすいものの例をあげてみます。

ちなみにこのトリーズの発明原理、
全体的に前半が汎用的でわかりやすく、
後半になるにつれ、素材や物質に依存するような、
やや場面を限定するような内容になっています。

発明原理の例

例① 1. Segmentation (分割原理)

1番目に来るのが「Segmentation(分割原理)」です。

これはとてもシンプルで、「困ったら分割せよ」ということです。

分割の対象は、「もの」はもちろん、
「時間」、「空間」、「アイデア」
全てに当てはまります。

例1. お弁当:複数の異なる料理が一つの箱に収まるお弁当。異なる料理が同じ空間にあると味が混ざってしまいおいしくありません。そのためにはお弁当箱を「分割する」ことで、料理の空間をわけ、それぞれの味が混ざることなく保つことができます。

例2. カレールー:カレーを作るときのカレールーにはあらかじめ溝があり、分割しやすくなっています。もし溝がない場合、毎回1人前、2人前を自分でカットして計る必要があり面倒です。

例3. 部・課・グループ:会社にはいくつもの部や課やグループが存在し、社員が割り振られています。もし部や課やグループが存在しない場合、管理者は大量の社員をまとめて管理する必要があり、非常に非効率で大変です。

例② 7.Nested-doll (入れ子原理)

次に紹介するのは、7番目の「Nested-doll (入れ子原理)」です。

Nested-doll。。。「入れ子人形」とは、
有名なロシアの人形である「マトリョーシカ」のことです。

大きな人形の中に小さな人形が入っていて、
さらにその中には小さな人形が入っていて、
さらにその中には。。。

考え方は大きなものの中に小さなものを格納し、
効率化を図るという考え方です。

例1. フォルダ:パソコンでファイルを管理するとき、フォルダを作成しますが、フォルダの中にフォルダを作ることができます。大きなフォルダの中に小さなフォルダを作ることで、属性ごとに効率的にファイルを管理することができます。

例2. 紙幣・硬貨:一万円札、五千円札、千円札、五百円玉。。。大きな金額から小さな金額の紙幣・硬貨が存在するため、大きな金額の支払いでも、小さな金額の支払いでも、効率的に支払いが可能です。一円玉だけで一万円の支払いをするのは大変です。

例3. 年月日:時間の単位を大きいものから順に年、月、日と定義されていることで、長い時間でも扱いやすくなっています。

例③ 21.Skipping (高速実行原理)

次は、21番目の「Skipping (高速実行原理)」です。

これはシンプルに言うと危険・有害な行為は、一瞬で終わらせようという考え方です。

何か目的をとげるためには、リスクを避けれないことがあります。

そのリスクが一瞬で害が少ない場合は、無視して進めてしまおうという考え方です。

例1. ダルマ落とし:昔懐かしのダルマ落とし。積み重なったダルマの胴を横から叩いて、崩さないよう飛ばしていく遊びですが、これは素早くピンポイントのパーツを飛ばすからこそ、上に積み重なっている胴体が崩れません。ゆっくり叩くと実現しない遊びです。

■例2. 瞬き:目を潤すために必要な瞬きですが、常に目を閉じているわけにはいきません。車の運転中でも、目を閉じるのを一瞬にすることで、目が乾くのを回避しながら、同時に危険にならないようにしています。

■例3. 注射:人体を傷つける針を意図的に突き刺す注射ですが、ワクチンや薬を打つのに不可欠な行為です。短時間で終わらせることで、人体に影響が出ない程度の痛みと傷で収めています。

例④ 32.Color changes (変色原理)

最後に紹介するのは「Color changes (変色原理)」です。

これもわかりやすく「困ったら色を変えろ」ということです。

教科書に赤線を引いたり、資料の大事なポイントを赤字にしたりするのはこれにあたります。

また透明化することによって見えないものを見えるようにし、
ものを便利にすることもこの変色原理に当てはまります。

例1. 信号:赤、青、黄。。。車の運転時などは、信号の状況を瞬時に間違いなく理解する必要があります。色は文字や記号よりも瞬時に間違いなく認識できるため、事故の回避に役立ちます。

■例2. 電車の路線図:都市圏の鉄道、地下鉄の路線図は複雑です。電車の路線ごとに色を分けることで、どの電車がどの駅を通っているのか、どこまで行けるのかわかりやすくなっています。

■例3. ボールペンの芯:ボールペンの芯は透明になっていることで、中のインクの残量を確認することができます。

おわりに

今回本文で紹介した発明原理はほんの一部で、
トリーズの発明原理40」 では他の発明原理についても解説しています。

みなさま仕事や日常生活で、
難しい課題や難しい選択を求められる場面はあると思います。

ただ、課題や問題の本質は、分野が違えど似ていることは多くあります。

個人的には、「仕事ができる」と言われる人の一つの特徴として、
ある課題を解決した際に、
その解決方法を別の課題に応用して解決できる人

というのがあると考えています。

このような人は、何かの課題解決の方法を、
具体的な手順・手法」ではなく、
抽象的な考え方」として身に着けているということが多いと思います。
(一を聞いて十を知るということに似ているでしょうか)

「Segmentation (分割原理)」の
「お弁当」の例では、仕切りを入れることで、
料理の味が混ざらないようにしました。

ここで大事なのは、

【課題料理の味が混ざらないしたい

という課題に対して、

具体的な解決策】仕切りを入れた

という手法だけではなく、
ここから、

抽象的な解決策】分割した

という考え方ができるかが大事
であるということです。

抽象的な考え方になってるからこそ、
他の課題や分野に応用することができます。

抽象的な考え方という意味では、
このTRIZの発明原理はまさにそのもので、
これらの発明原理を頭の片隅においておけば、
何かの発想の役に立つ可能性は高いのではないでしょうか。

本日の記事は以上になります。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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