【映画紹介】2001年宇宙の旅

引用元:美術手帖

今回は映画「2001年宇宙の旅」の紹介です。

目次

はじめに

知る人ぞ知るSF映画の大名作で、
私の最も好きな「SF映画」でもあります。

前回の記事で紹介した本
「ビジネスパーソンのためのクリエイティブ入門」の中でも
少しこの映画のことが言及されていたので、
記事にしてみたいなと思いました。

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この映画、「SF映画」というジャンルの中では、
スターウォーズ等と並んで、
世界一有名なSF映画と言えるのではないでしょうか。

とはいえ、見る人を選ぶ映画ではあります。

2時間以上ある映画ですが、セリフは極めて少なく、
映画内で発生する事象の説明もほとんどありません。

いわゆる難解な映画です。

私自身も大好きな映画ではありますが、
映画の意図を理解しているとは口が裂けても言えません。
(むしろこの映画を完全に理解している
という人は監督はじめ制作に携わった人以外
存在しないのではないでしょうか)

ですので、この映画がおすすめなのは以下のような人です。

  • ストーリー以外の映像・音楽・演出等を楽しめる方
  • 理解より感覚で映画を楽しめる方
  • 思想や空想に耽りたい方
  • 未知で理解の超えた恐怖を感じたい方

逆に以下のような人には、すみません、絶対におすすめしません。

  • ストーリーの起承転結を重視する方
  • 人間同士の掛け合いや感情の機微を楽しみたい方
  • スピーディーでにぎやかな作品を鑑賞したい方

ネガティブなことも書きましたが、
世界中で愛される映画であることは間違いありません。

個人的に感じる映画の魅力を、難しいながら、
どうにか言語化してみたいと思います。

なおネタバレもありますので、ご了承ください。
(ネタがバレてても、好きな人は好きになる映画だとは思います)

映画の魅力1:怖い

もしこの映画に対して「どんな映画?」
と聞かれた場合、
シンプルな感想としては「怖い」と答えます。

この映画、どんな映画よりも怖いです。

ただ、「怖い」の種類は様々あり、
一般的なホラー映画にあるのは、
「ビックリする」、「グロい」等ですが、
この映画の場合、異なります。

この映画の怖さは表現するならば、
「無音の恐怖」とでも言うのでしょうか。

恐怖を感じるシーンは何か所かあるのですが、
どのシーンもとても静かです。

モンスターや宇宙人が出てくるわけでもありません。

説明もほとんどなく、
機械音、呼吸音、効果音のみの演出が、
感覚的で言葉にできない
息のつまる恐怖感を抱かせてくれます。

特に木星へ向かう宇宙船に同乗している
感覚を持つコンピューター(現代のAIよりさらに進んだ感じ)
「HAL」の挙動の描き方はすごいです。

話し方は良識のある人格者のようですが、
少し体温の感じさせない話し方と、
「HAL」のカメラ目線で描くシーンが、
不気味な違和感を感じさせます。

この「HAL」、旅の途中でバグるんですが、
バグった理由も描かれず、
紳士的にバグり続けるところも
理解できない恐怖を感じさせます。

ラストの説明は特に不可能で、
人により解釈は異なると思いますが、
私は恐怖を感じました。

私たちが属する天の川銀河には、
恒星が2000億個程あり、
全宇宙には同じような銀河が、
3000億程あると言われています。

宇宙の広さも少なくとも130億光年以上
あると言われています。
※1光年=約9兆5000億km

星の数ほど星はあり、
宇宙の広さは想像もつかないほどです。

私たち人間が少しでも知っているのは、
せいぜいすぐ隣の月までくらいなものです。

そんな未知の部分しかない宇宙を表現するには、
このラストしかないのではないかなと
思うようなラストです。

ちなみに過去記事で「こわい映画」の紹介をしましたが、
この映画は別格なので、あえて除外しました。

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映画の魅力2:無言が生み出す感覚的な想像力

冒頭にも書きましたが、
この映画はセリフが非常に少なく、
説明もほとんどありません。

セリフのない美しいシーンが
5分以上続くこともあります。

これらの耽美的でありながら、
恐怖感を感じさせる無言の映像の間に、
見る側は様々なことを想像します。

映画に登場する構造物の目的、
HALや登場人物の意図、
宇宙自体の謎・・・
(想像したところで答えは出ませんが)

人間とは何かという哲学的な問いに
辿り着く方もいると思います。

私を含め世の中のほとんどの方は、
数字やお金を扱う実際的な仕事に就いており、
実際的な生活を送っている方が多いかと思います。

このような方にとっては、
理屈で答えられない問いについて考え、
普段はあまり使わない感覚を使うことで、
ある種、感覚のデトックスに
なるのではないかと思います。

映画の魅力3:色あせることのない映像・音楽・デザイン

魅力の3点目はこの映画で欠かすことのできない
ディテールについてです。

この映画が公開されたのは1968年で、
今から50年以上も前にもなります。

もちろん、SF映画ですので、
宇宙空間や宇宙船内の場面も多くあります。

しかしほとんど古さを感じません。

もちろん今のような
CGや特撮の技術もなかったため、
当時では新しい撮影技法を
いくつも使用しました。

これは妥協を許さない完璧主義者でもある
スタンリー・キューブリック監督の
こだわりがつまっているからと言えます。

こだわりは撮影技術だけではありません。

例えば音楽は既存のクラシックを多用しています。

当時、作曲家に映画音楽を依頼していたらしいのですが、
納得がいかず、その作曲家に無断で没にした挙句、
既存のクラシックを使用したというエピソードもあります。
(無断はさすがにどうかとは思いますが・・・)

シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」
で始まる有名なオープニングのシーンは、
この映画を見たことのない人でも、
どこかで一度は見かけたことがあるのではないでしょうか。

インテリア等のデザインも
よくあるSF映画のステレオタイプではなく、
今見てもシンプルでモダンな印象をいただかせます。

これらの時代を選ばない数々のディテールが、
何年経っても名作と言われる理由の一つだと思います。

おわりに

ここまでどうにか文章にしてみましたが、
結局は感覚的すぎる作品のため、
見てみないとわからないというのが
正直なところです。

興味がある方はぜひ鑑賞してみてください。

はたして公開当時、
デートでこの映画を見に行った
まだ間もないカップルは
鑑賞後、
一体どのような空気になったのでしょうか。

少し悪趣味な想像をしてしまいます。

この映画を見た後に、
率直な感想を言い合えるカップルは
しばらく安泰でしょう。

また、改めてこの作品を見て感じた点として、
素晴らしい作品には、
空白の美学」のようなものがあるように思います。

セリフや動きも少なく、同じようなシーンが続く。

それでも魅力的なのは、
美しいシーンの間の空白の時間や空間に
自分の感覚で様々な想像ができるから
なのかなとも思います。

想像する内容は、同じ人が複数回見たとしても、
コンディション、精神状態や年齢によって、
異なる可能性も大いにあります。

それがゆえに何度見ようが何年経とうが新鮮で、
素晴らしい作品と言われる理由なのかな、
と考えたりします。

今回は以上となります。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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