【映画紹介】ボクたちはみんな大人になれなかった~大人の過去との向かい合い方~

引用元:ボクたちはみんな大人になれなかった 公式サイト

今回は映画「ボクたちはみんな大人になれなかった」の紹介です。

紹介というより、
個人的な経験を踏まえた感想です。

現在、Netflixで配信されていますが、
私はこの映画が気に入り、
2回続けて見ました。

目次

ストーリー

ストーリーは以下の通りです。

1995年、ボクは彼女と出会い、生まれて初めて頑張りたいと思った。「君は大丈夫だよ。おもしろいもん」。初めて出来た彼女の言葉に支えられがむしゃらに働いた日々。

1999年、ノストラダムスの大予言に反して地球は滅亡せず、唯一の心の支えだった彼女はさよならも言わずに去っていった――。

志した小説家にはなれず、ズルズルとテレビ業界の片隅で働き続けたボクにも、時間だけは等しく過ぎて行った。そして2020年。社会と折り合いをつけながら生きてきた46歳のボクは、いくつかのほろ苦い再会をきっかけに、二度と戻らない“あの頃”を思い出す……。

引用 ーボクたちはみんな大人になれなかった 公式サイト

やりがいも感じていない仕事を続け、
40歳を過ぎてものらりくらりと結婚もせず、
なんとなく生きる、佐藤という男の話です。

そんな佐藤が、
つい20年前に付き合っていた彼女の
SNSをたまたま見つけてしまい、
彼女が結婚をした現状を知ってしまいます。

そこから過去に遡って
様々な記憶を思い出し、
自分の人生を思い返す話です。

永遠に大人にはなれない

私はこの主人公ほどの年齢ではありませんが、
30を過ぎ、立派な「大人」と言われる年齢です。

さすがにこの年齢になると、
様々な経験や過去があります。

これは私に限った話ではないはずです。

誰でも、時間を重ねることで、
様々な経験をしているはずです。

もちろん楽しい思い出だけではないと思います。

むしろ「後悔」や「未練」といった、
ネガティブな経験の方が、
強く記憶に残っているかもしれません。

経験や思い出がないという人も、
その「経験をしなかったこと」、
「思い出を作らなかったこと」自体が、
喜ばしくない思い出になっていることも
多いと思います。

そんな私も様々な後悔や失敗があります。

一番わかりやすいのが、
私は一度、離婚した経験があります。

結婚、離婚ともに、
人生にとってあまりにも
いい勉強になった経験ではありますが、
やはり離婚自体、避けることができれば、
避けたかった経験です。

様々なすれ違いを修正できていれば、
避けることができたかもしれません。

その方法は、
今なら答えはわかる気がしますが、
時間は巻き戻りません。

この映画の主人公の佐藤は、
20年前に別れた、
大好きだった彼女のことを、
今でも忘れていません。
(あまり美人ではないと言われていますが、
魅力的な女性です)

映画内で、別れた理由の説明はなく、
佐藤自身もわかっていないのかもしれません。

おそらく佐藤も
「ああすればよかったのでは・・・」
といったことを、
たくさん考えたでしょう。

人は過去を捨てられないと思います。

記憶を完全に消去することはできず、
思い出は思い出のまま、
美化することは不可能です。

特に失敗の対処法がわかっている今だからこそ、
「なんでああすることができなかったのか」
という「後悔」の思いが強くなります。

「大人」のイメージはなんでしょうか?

「理性的」、「現実的」、
「感情をコントロールできる」など
あると思います。

ただ、「大人」に感情はないのかというと、
そうではありません。

楽しかった、悲しかった等の感情は、
大人になり表に出さないようになった人でも、
感じるはずです。

これらの感情は、様々な人と交流し、
すれ違っていき、生まれていく感情です。

映画内の佐藤は、今は「感情」が、
無いように見えますが、
ラストで、「ある音楽」をきっかけに
過去を思い出し、
感情が大きく揺らぎます。

この佐藤のように、
私たちはいつまでも過去に縛られ、
過去に踊らされ、
共存していくしかないのでしょう。

それもしようがないと思います。

一般的に理想の感情がない「大人」には、
永遠になれないんだろうなと思います。

感情や思い出に振り回されるのは、
とてもつらいかもしれません。

でも、そんな「大人」になれない大人こそが、
私は美しいのではないかとも思ったりします。

そんなつらい過去や後悔とともに生きていき、
思いを巡らせるのが、
普通の大人なのかなとも思います。

自分にはなんにもない

この映画の登場人物は、
「私にはなんにもない」と、
口にします。

私が思うのは、
果たして「何か」を手に入れることで、
自分に何かが備わったと思えるのでしょうか。

映画内の佐藤は、
今でこそ仕事は安定しており、
ただ生きていくだけなら、
困ることはなさそうではあります。

生きていくのに必要なものはあっても、
何かものや経験を手に入れても、
いつまでも「自分にはなんにもない」と、
思ってしまう感覚は少しわかります。

理由を説明するのは難しいですが、
この感覚はきっと、
いつまでも続くのかなと思います。

ですが、それでもいいのではないでしょうか。

この佐藤の人生のように、
また私の人生のように、
他人から見たら派手ではなくても、
みな小さな「何か」があるはずです。

この小さな「何か」に必死になり、
悪戦苦闘しながら、
生きていくしかないのかなと思います。

自分に「なにもない」と思うことは、
実際に客観的に見たら本当に大したものはなく、
ある意味、おそらく事実です。

目の前の小さな問題を解決し続けるだけで、
人生は終わるのかもしれません。

それでもいいと思います。

そんな小さなできごとの積み重ねが、
映画で描かれる佐藤の人生のように、
誰の人生も、
地味ながら芸術的で魅力的なものに、
しているのではないかと思います。

自分は自分でしかない

もう一つ思い出したことがあります。

学生時代、
私に好意を寄せてくれる女性がいました。
(ホントかよと思うかもですが、
客観的な話をまとめると事実です)

私もその女性のことが好きでした。

しかし、周りから冷やかされたことで、
私が彼女に冷めた態度をとる内に、
相手の女性は、
私のことを好きではなくなりました。

そんな最悪なタイミングで私は告白し、
見事に振られました。

いたい思い出です。

おそらくこの映画を見る前に、
この「思い出」を思い出したら、
「後悔」になったかもしれません。

でもこの映画を見た今、思うのは、
この経験はただの「自分の過去」である、
ということだけです。

「過去」は死ぬまで付き添う記憶です。

良いとか悪いとかではありません。

そんな小さな過去の後悔や経験と、
人生をともに生きていく、
「普通の人たち」が世の中のほとんど
だと思います。

つらい思い出を、
「つらい」と思う人がほとんどだと思いますが、
ただの小さなドラマを彩るイベントとして、
考えるしかないのかなと思います。

おわりに

すみません、
映画の紹介がほとんどありませんでした。

この映画の主人公である佐藤は、
とても凡庸で、どこにでもいそうな人、
ではあります。

ただ、だからこそ、佐藤のドラマは魅力的で、
同じ凡庸な人間としては、強く共感します。

過去を思い出すことは、
悪いことではないと思います。

過去からは逃げることはできないですし、
逃げる必要もないと思います。

世界から見たら、
自分の人生はとても小さく、
教科書に残るような人生ではないかもしれません。

でもそれでもいいと思いますし、
目に入る範囲で必死に生きるだけでも、
十分だと思います。

私自身、怠惰で凡庸であっても、
自分の人生を愛し、
過去の出来事を大事にしながら、
生きていきたいと思わせる映画でした。

30歳あたりを過ぎ、
自分の人生について思い返すことが多い人にとっては、
おすすめの作品です。

今回は以上になります。

最後までお読みいただき、
ありがとうございました。

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