「セレンディピティ」ってなに?

今回は「セレンディピティ(serendipity)」
という言葉の意味について書いてみます。

目次

はじめに

「セレンディピティ」という言葉を、
ご存じでしょうか?

別記事で書評を書いた、
「ニュータイプの時代」の本文で、
少し登場した言葉です。

なかなかおもしろく、
素敵な言葉なので、
記事にしてみたいと思いました。

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聞いたことが無い方も、
多いかと思いますが、
最近、じわじわと耳にする機会が、
増えてきた言葉です。

それとこの言葉、
日本語に直したときに、
ニュアンスがズバッと一致する言葉は、
なかなか思いつきません。

言葉の意味を理解すると、
日常生活や仕事で「セレンディピティ」を、
実感する機会があると思いますので、
ぜひ「ここぞ」というときに、
使ってみてください。

「セレンディピティ」の意味

「セレンディピティ」を、
無理やり日本語で表すと、

  • 偶然の産物
  • 偶然の幸運を手に入れる力

となります。

セレンディピティ(英語: serendipity)とは、素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見すること。また、何かを探しているときに、探しているものとは別の価値があるものを偶然見つけること。平たく言うと、ふとした偶然をきっかけに、幸運をつかみ取ることである。

引用元ーWikipedia セレンディピティ

この言葉は、
イギリスの政治家・小説家である、
ホレス・ウォルポールが、1754年に、
童話「セレンディップの3人の王子」に、
ちなんで生み出した造語です。

この話の、

王子たちが旅の途中、意外な出来事と遭遇し、彼らの聡明さによって、もともと探していなかった何かを発見する。

という、ストーリーに由来します。

このストーリーこそ、
「セレンディピティ」であり、
言葉の意味を理解するための、
大きなヒントになります。

ただの「偶然」や「幸運」とは違う

「偶然の産物」と言うと、
少々わかりにくいのですが、
ただの「偶然」や「幸運」とは、
少し異なります。

たとえば、

「宝くじで1億円当たる」

これは、「偶然」で「幸運」ですが、
「セレンディピティ」ではありません。

「セレンディピティ」と言うには、

本人の「偶然に気づく力」が働き、思いがけない発見をする

必要があります。

「偶然に気づく力」が大きなポイントです。

つまり、宝くじの例では、
たまたま持っていた宝くじが、
大当たりしただけで、
本人の能力は関係ないため、
「セレンディピティ」とは言いません。

宝くじが当たる幸運はセレンディピティではない!

セレンディピティの例で、
一番わかりやすい例が、ニュートンの、
「万有引力の法則」の発見でしょうか。

ニュートンが「万有引力の法則」に、
気づいた流れは、単純化すると、
以下の通りです。

・「りんごが木から落ちる」

・つまり「地球にはりんごを引き付ける力がある」

・もしかしたら「他の星でも同様に、
りんごを引き付ける力があるのではないか」

・となると
「すべてのものは引き付ける力があるのではないか」

この発想は、

  • 日常的な「りんごが落ちる」という現象から
  • ニュートンのひらめきの力で
  • 一見無関係そうな「万有引力の法則」に気づく

という、
まさに「セレンディピティ」の代表例です。
(理系でもなく、詳しいわけでもないので、
微妙な表現が間違っていたらすみません)

ニュートン以外の人が、
リンゴが落下する光景を見ても、
「万有引力の法則」には、
たどり着かなかったでしょう。

AさんとBさんで、
同じ経験をしたとしても、
セレンディピティが訪れる人もいれば、
セレンディピティが訪れない人もいる、
というのが、大きなポイントです。

セレンディピティのコツ

セレンディピティには、
同じ事象に遭遇しても、
アイデアが生まれる人と、
アイデアが生まれない人が存在し、
個人差があります。

これは単純な、
「頭の良さ」の差だけでは、
ありません。

ものごとへの姿勢や考え方を、
意識して変えることでも、
セレンディピティの力を、
向上させることができます。

遊びや無駄を排除しない

セレンディピティは、
何かを狙って発見することではありません。

狙いと全く関係のないことを、
積極的に行うことで、
セレンディピティの機会を、
増やすことができます。

一般的なビジネスのシーンでは、
基本的に効率を最優先しており、
仕事と関係のない会話や非効率な作業は、
無駄だと言われます。

業務時間中に遊ぶなんていうのは、
もってのほかです。

セレンディピティの機会を増やすには、
これら無駄な(無駄と言われる)会話や遊びを、
むしろ積極的に増やす必要があります。

未知や異物を積極的に取り入れる

これも遊びを取り入れると少し似ていますが、
自らが積極的に、
価値観が異なる人やものと、
関わる必要があります。

セレンディピティでは、
いくつもの関係がないと思われる知識・経験が、
つながることで生まれます。
(有名なスティーブ・ジョブスの、
「コネクティング・ザ・ドッツ
(Connecting the dots)」が、
まさにこれです。)

つまり、自分の経験が多ければ多いほど、
広ければ広いほど、
セレンディピティの機会は、
増えていきます。

抽象的に考える

経験が多いだけでは、
セレンディピティは生まれません。

起こった出来事について、
抽象的に考える必要があります。

抽象的に考えるというのは、
一つの出来事から、
他のものに当てはまるよう、
一般化して考えることです。

「一を聞いて十を知る」
ということに近いでしょうか。

先ほどのニュートンの例では、
リンゴが落ちることで、
万有引力の法則に気づいた例を挙げました。

これはニュートンが、
リンゴが落ちるいう出来事に対し、
「地球がものを引っ張る」
「地球以外の星も引っ張るでは」
「星もこの世のすべての物質も引っ張るのでは」
と順々に、抽象的に、
考えられたからに他なりません。

日ごろから、何かが起きた時に、
「何か別の似たものはないか」
「その共通点とはいったいなにか」
ということを考える必要があります。

おわりに

以上が「セレンディピティ」の説明となります。

この「セレンディピティ」、
感じるセンスが多いか少ないかで、
仕事・私生活ともに、
充実度が大きく変わるかと思います。

ここ最近では、ビジネスの世界でも、
聞く機会が増えてきました。

昔とは異なり、
効率化、量産化、低価格化といった、
「論理的」な手法で解決できる価値は、
時代とともに減少しており、
みなが同じ手法を安易に手にできるような、
状況になってきています。

ビジネスも、効率・便利の時代から、
共感の時代になってきているのを感じます。

自分の持つ、
「おもしろい」「共感する」
といった感情にこそ価値を感じる人が、
増えてきた印象です。

このような不定形で答えのない、
「共感を生むもの」を作るために必要なのが、
この「セレンディピティ」だと感じます。

専門分野をまたいだアイデアが、
想定外でエッジのきいたものを生み出し、
特定の人の強い共感を引き起こします。

ちなみに、少し話はそれますが、
私がこの言葉に初めて出会ったのは、
もう15年前くらいでしょうか。

言葉としてではなく、
とある渋谷のインテリアショップで、
「セレンディピティ」という名前の、
お店がありました。
(もうなくなってしまいましたが)

そのときは、なんとなく響きから、
「セレブレーション的なにぎやかな意味かな」
程度で、特に調べなかったのですが、
実際調べると大分意味が違いました。
(セレブレーションはイニシャルが「C」ですし、
そもそも全然違います)

そこで買った2人掛けのローソファは、
今でもとてもお気に入りで、
長らく使用しています。

当時そのソファとの出会いは偶然でした。

ただ、そのソファと出会い、
そのソファの魅力に気づけたのは、
ある種の「セレンディピティ」なのかな、
とも思ったりします。

今回は以上となります。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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